紙幣を発行するのは中央銀行です。中央銀行は発行した紙幣で、市場の金融機関から国債を買い取ります。そうすることで印刷した紙幣を市場にばらまいています。
経済はお金の循環です。消費が活発になれば、企業が潤い、従業員の給料につながっていきます。好循環ですね。金融機関に資金が流れれば、融資として企業に回り、設備投資にも資金がまわります。
何といっても景気を支えるのは「個人消費」と「設備投資」です。特に企業の設備投資が活発になることが、景気には好材料となります。それゆえ、企業にお金をいっぱい使ってもらうために市場に資金を供給します。その結果、投資マネーは、企業の活性化を期待して株式市場に流れます。量的緩和あおすれば株価が上昇することは、ここでつながってきます。
量的緩和をすると、市場に通貨料が増えますので、価値が下がる、つまりは通貨安を招きます。それは、その国の貿易にも有利になり、貿易立国は株価が上がります。通貨安は、その国の資産価値を下げるので、借金が軽くなります。
日米欧とも、世界メジャー市場こぞって量的緩和を行いました。アメリカが先頭バッターで、昨年末、今年の2月にはヨーロッパ、最後に日本という順番です。これらの量的緩和の性質は若干異なります。アメリカと日本は、市場に流した資金は回収しない「非不胎化」で、ヨーロッパは回収する「不胎化」です。効果は市場から資金を吸い上げない方がインパクトは強いです。それゆえ、これだけで判断すると、ユーロよりも、ドルや円のほうが通貨安になりやすいと言えます。
量的緩和政策は、落ち込んだ市場、どうにもならない景気を無理やり上に引き上げるカンフル剤です。ただ、急激なインフレを招くという副作用も伴います。それゆえ、中央銀行の腕の見せどころとも言えます。できればやりたくないというのがヨーロッパと日本の今までの姿勢でした。そうは言ってられない状況とも読み取れます。