2012年5月29日火曜日

日本円と人民元の直接取引

外国為替市場で日本円と中国人民元の直接取引が、6月から本格的に始まります。ドルを介しての取引だった両国間の通貨取引は、これで拡大の期待が高まり、コスト削減にもつながっていきます。人民元と円の直接取引は昨年12月、野田佳彦首相と中国の温家宝首相が首脳会談で拡大方針を合意しています。

 中国側の思惑としては、円との取引を介して、中国経済のドル依存体質からの脱却を図る狙いがあるようです。人民元の国際化の狙いもあるのでしょう。

 中国は、ドル建て輸出による為替リスク軽減のため、2009年より、人民元建ての貿易決済を解禁しています。元建ての比率は、2011年の輸入総額に対する16%から増えていって、2014までには30%を突破するといわれています。

 日中貿易においては拡大の一途で、2011年で約27兆円、これは10年間で2.5倍の拡大スピードのようです。今後の成長が見込める日中貿易での、円・元直接取引が広まれば、円高ドル安の状況下で、円を踏み台にドル依存比率を下げることができると、目論んでいるようです。

2012年5月27日日曜日

ヨーロッパ共同債(EU共同債)について

フランスでは、17年ぶり、ミッテラン大統領以来の社会党政権、オランド大統領が誕生しました。緊縮一辺倒から経済成長へと舵を切る提案をし、ギリシャでも総選挙で緊縮体制への反対を表明しました。オランダでも、ドイツ指示の現政権は崩壊しました。ドイツも、周辺諸国のこの動きに歩み寄るのかどうか、思案のしどころです。

 ここで、一気に浮上してきたのが「EU共同債」の発行を巡る攻防です。ドイツはこれには反対を唱えています。

 このEU共同債とは、ヨーロッパ個々の国が独自で国債を発行して資金調達するのではなく、EU全体として債券を発行することを意味します。米国財務省証券(TB:トレジャーボンド)と同じですね。


 この経緯はアメリカも経験しています。アメリカは各州独自に州債を発行して資金調達をしていましたが、1789年、独立戦争で借金を返せなくなった州が続出して、現在の統一した米国財務省証券発行に至りました。まさに今のヨーロッパ状態です。

 共同債発行のメリットは、ギリシャやスペイン、イタリアの発行する債券と、ドイツが発行する債券の条件が同じになるので、危機的と言われる利回り7%以上の上昇は起こりにくくなります。

 デメリットは、完全にドイツ側にあります。ただでさえ、ドイツは一国で債券発行による資金調達は十分可能で、しかも極端に利回りが低い状況です。資金調達コストをかなり低く抑えることができます。もし、共同債発行となると、今のドイツ国債よりも利回りは跳ね上がり、ドイツの金利負担は大きくなります。そりゃあ,ドイツは反対するでしょう。

 そもそも自業自得の国を、今までも多額の資金援助をしているのに、何でそれ以上に、共同債なんてことで、面倒を見てあげなきゃあいけないのか・・・というドイツ側の心理もわかります。これを認めると、メルケル首相の再選はないでしょう。

 ドイツも、自分のことばっかり考えるなという声もありますが、ギリシャのユーロ離脱はどうでもいいですが、ドイツがユーロ離脱、マルク復活となると、 こちらは偉い騒ぎになるどころの話ではないですね。

 EU共同債は、ヨーロッパ全体に大きな蓋をするようなもので、結局中身はブラックボックスにしてしまうもののような気がしますが、今後の焦点は、どうやらEU共同債発行するかどうかに向かってきているようです。 ドイツは、かなりの条件を付けてこれを飲むかどうかですね。

2012年5月22日火曜日

ボルカールール

ポール・アドルス・ボルカー・ジュニア
ニューヨーク連銀から、チェース・マンハッタン銀行へ、そして副社長まで上り詰め財務省通貨担当事務次官を務め、あのニクソンショックにかかわることになります。その後、カーター政権下でFRB議長を務め、レーガン政権下で、世界経済の大きな節目となるプラザ合意にかかわります。

金融引き締めと言えばボルカーで、今回のボルカー・ルールと呼ばれるものも、金融機関への様々な規制を盛り込んでいます。その内容は

1、自己勘定での証券売買やデリバティブ取引の禁止
2、ヘッジファンドなどへの資金供給の禁止
3、銀行が大きくなりすぎることの防止

このうち、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスらにとって一番厄介なのが1番の項目です。ローマンショック後もダミーを使って自己勘定取引を行っているといわれています。ここが大きな収益源です。

2012年5月21日月曜日

FTAとEPA

FTAとは、Free Trade Agreement 自由貿易協定のことで、特定の国や地域との間で、関税や規制を失くして、モノやサービスの流通を自由に行えるようにすることです。

 EPAとは、Economic Partnership Agreement 経済連携協定のことで、物流のみならず、人の移動、知的財産の保護、投資、競争政策など様々な協力や幅広い分野での連携で、国同士や地域同士の親密な関係強化を目指すものです。

 いま日本は、日中韓でのFTA、日・EU間でのEPAに向けて話し合いを進めています。

 これにTPPは絡んでくるのですね。

 TPPは、太平洋地域すべての国を巻き込んでの大きな枠組みで、FTAの関税撤廃はもちろん、EPAの知的財産や投資などにも、その対象は拡大されていきます。

 当然メリット、デメリットはあります。経済スケールが拡大されるメリットもあれば、場合によっては自国産業へのダメージを受けるデメリットもあります。どちらを優先するのか、どちらに重きを置くのかということになります。

 外交において、このFTA、EPA締結は、慎重に進めながらも重要な課題と言えます。

2012年5月18日金曜日

テールリスク

テールとは馬の尻尾で、物事が起こりうる確率のはしっこ、つまり、ごくごく少ない確率で起こる事象のことですが、もしそれが起きたらとてつもなく大きなリスクになりますよということです。

 リーマンショックのときのように、短期的な大きな下落を指します。ギリシャのユーロ離脱をきっかけに、マーケットは大きく下落するテールリスクに備えようという感じですかね。

 当然テールリスクに備えるにはヘッジ(回避)を行います。分散投資はまさにそれで、多くの場合金を買っておくなどの対策が取られます。リスク資産である株式市場が大きく下落するときには実物資産である金は買われます。何かが起きても、持っている資産の中で、ある程度マイナスをかばーしてくれる投資先を確保しておくことがヘッジと言えます。

 セリングクライマックスということばがあります。これはたとえば先物で買いポジションをため込んでいて、下落時に大きな損失を抱えたとした場合、一気にポジションを手じまうなどして売り続けることで、急激にマーケットが下落します。

 だらだらと下げ続けていく、時間をかけて下がっていくのが一番嫌です。セリングクライマックスのような急激な下落は、その後買い戻す勢いも大きくなることもあります。

 テールリスクという言葉は、マーケット関連のニュースでは、最近よく登場してきます。

2012年5月15日火曜日

世界ウイグル会議が東京で開催

14日東京で世界ウイグル会議が開かれました。ドイツ・ミュンヘンに拠点を置く、世界各国のウイグル人の組織で、中国におけるウイグル人の人権状況を世界にわかってもらう広報活動が中心の組織です。

 このためか、日中韓首脳会議で訪中している野田総理が、胡錦濤国家主席との単独会談に応じてもらえないと報じられています。胡錦濤国家主席は、李明博韓国大統領とは会談を行っています。対応の違いを鮮明にした理由が、世界ウイグル会議が日本で行われたことへの遺憾の表れと報じられています。

 中国とは尖閣諸島をめぐる領土問題もあり、国の思惑が交差する中の日中韓サミットだっただけに、ギクシャクした感じは否めなかったようです。今後のアジア経済を考えると、この3国の関係は非常に重要です。

 中国は、今権力闘争の真っただ中です。今年は、5年に1度の、国家意思決定の最高幹部9人が入れ替わる年です。まさに権力闘争真っ只中の状況です。石原都知事が尖閣諸島を買うといった時の中国の反応が意外と静かだったのは、それどころではない国内状況があるとの見方もあります。石原都知事はそれを知って、あのタイミングで尖閣諸島の件にふれたとも言われています。

 日中韓のFTA交渉もあり、この3国の関係は、これからの世界経済を見るうえでも、目が離せないものになってきます。米韓FTAにTPP、アメリカのアジア戦略にもかかわってきます。

2012年5月14日月曜日

東京電力に1兆円

東京電力への公的資金1兆円投入が話題になっています。有識者の間では、東電という会社をいったんつぶして、原子力事故の後始末専門の会社にすべきだとの意見もあります。原子力という大きなプロジェクトを民間企業にやらせること自体が問題だという議論もあります。

 東京電力管内の電気料値上げも話題になっています。遊休地を含む東電所有財産の売却が全然進んでない中で、電気料値上げはおかしいという意見もあります。

 本来なら東京電力という会社は、賠償金が支給されなければ債務超過になています。実質破たんしています。それを延命することの意味は何なのでしょうか。

 財務省関連が東電の国有化に反対しているとの話を聞きます。消費税の負担を国民にお願いする立場で、今後どれだけ事故終息にお金がかかるかわからない原子力関連を国が負担することは難しいという見解です。国は肩代わりしたくないのです。

 ところが経済産業省は、お金を出す代わりに、それに見合った議決権をよこせと迫っています。国の経営権の掌握です。

 東電関連の問題には仙谷政党会長代行が深くかかわり、所費増税法案成立に力を注いでいることから、財務省側が仙谷氏に歩み寄ったともされていて、この国営化問題は、今回の1兆円をつぎ込んでの企業再生により、どのように動くのでしょうか。東電人事は刷新されます。

 原子力は日本にとって本当に必要なのでしょうかね。

2012年5月11日金曜日

コンプリートガチャ(コンプカチャ)

コンプリートガチャとは、携帯電話用のアイテム購入方法のことです。ガチャは、カプセルにおもちゃが入っているガチャガチャのことで、求めているものを手にするまで、お金を投じ続けることになります。アイテムが揃うまでガチャガチャを回し続けることが携帯ゲームメーカーの大きな収入源となっています。それにより、子供が高額をつぎ込むトラブルが社会問題になっていて、消費生活センターにも多数の相談が寄せられています。

  コンプリートガチャ(コンプガチャ)は特定のアイテムをそろえると希少アイテムを入手できる仕組みです。これが景品表示法が禁じる「カード合わせ」の手法に該当すると消費者庁が判断したと報じられています。

 景品表示法とは、正式には、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)といいます。実際よりも良く見せかける表示や、過大な景品付き販売により、消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまうなどの不利益を被るおそれがあることから、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限する法律です。

 ソーシャルゲーム配信国内大手のディー・エネ・エーやグリーにとっては大打撃です。社会的責任をとわれ、その大きな収益源もなくなります。それまで、相場を大きくけん引していた立場だったことから、市場への影響は大きいと思われます。

 インターネットの世界は、急激な成長を遂げてきていますが、そのマーケット拡大の方法や、収益構造が注目されます。

2012年5月9日水曜日

いよいよ政局ですかね

小沢一郎元民主党代表の控訴が決まりました。小沢氏の党員復権はすでに決定していて、疑いは晴れないままの復権となりました。

そもそも党員復権を早めに決めた経緯は挙党体制堅持の意味合いがあり、復権を認める代わりに、消費税関連法案への反対の態度を軟化することを迫るのが狙いでした。控訴が決まったことで、9月の代表選挙に小沢氏自身の出馬は微妙になったでしょう。

小沢氏の、党員復権して控訴というシナリオは、野田政権には有利なのではないでしょうか。

小沢氏への配慮は十分に行いましたからね。小沢グループへの配慮のあとの控訴決定ですからね。ただ、国民への説明は道理が通りません。説明よりも法案が大事ということでしょう。

何がなんでも消費税率引き上げは断行すると思われます。それは、たとえ自民党の意見をまるのみしてでも成立させるのでしょう。

いよいよ政局が本格的になってきそうです。

2012年5月7日月曜日

ポピュリズムを考える

ポピュリズム・・・大衆迎合は確かに選挙には有効です。減税、雇用拡大、社会保障堅持、これらは国民には受けの良い政策ではあります。ヨーロッパで争点になった緊縮体制は、増税、公務員カット、社会保障の縮小を伴いますから、当然、批判の対象になるでしょう。

 そもそも、国をこんな目に合わせたのは誰だという意見もあります。それを支持したのは誰だという側面もあります。日本も同じです。腐敗が横行する国は栄えません。官僚天国の国もいかがなものか。歳費拡大はもってのほかです。そこから手を付けることは当然ですが、だからと言って、国民の「受け」ばかりを狙った政策もいかがなものかですよね。

 増税の前にやることはいっぱいあると思いますが、税の議論も含め、財政の健全化をはかるには、どうすればよいのでしょうか。経済成長による税収アップを図る、ダイレクトの増税に踏み切る、税収アップに必用なのはこの二つになるのでしょうか。 最も両方大事ではありますがね。ギリシャでは、消費税率を引き上げても、むしろ消費が落ち込んで税収は上がらなかったということです。

 雇用拡大には、手っ取り早いのは公共事業を増やすことです。日本でも自民党政権での十八番でした。アメリカも、かつてはニューディール政策を行いました。オバマ政権発足時はグリーン・ニューディールを叫んでいましたが、あれはどうなったのでしょうか。雇用拡大には景気の底上げが必要です。これはまさに経済政策で、増税がこれに合致するのかどうかは疑問です。

 社会保障の堅持、こちらはいかにして財源を確保するのかというところにつきます。大きな政府か小さな政府化の議論もあります。サービスをどこまでにするのか、国民負担はどこまでお願いするのかのバランスもあり、かなり難しい課題と言えます。

 ポピュリズム、これは別に反体制を意味しているわけでもなく、大衆に迎合することはどうかと思いますが、国民のために政治を行うという部分は理解できます。かつて、バブル崩壊後、会社は誰のものかという議論があり、会社存続か雇用維持かで、リストラの是非が問われたことを思い出します。会社あっての社員であると同時に、社員あっての会社でもあります。顧客が会社を支持し、株主が会社を支えているのも事実です。

 国民の選択は、大きく左右にぶれるものです。スパルタ教育で育った親は放任主義になり、放任主義で育った子供はスパルタな親になると言われます。 行き過ぎは必ず揺り戻されます。こんな時に求められるのがカリスマと呼ばれる存在で、それも群集心理なのでしょう。ただ、間違ったカリスマはその後、大きな悲劇を生むことは、歴史が物語っています。

 私たち国民がもっと賢くなることが必要なのでしょう。

2012年5月5日土曜日

マイナンバー法案が審議されます

 国民一人一人に番号を割り振る「共通番号制度」を導入するのに必要な、いわゆる「マイナンバー法案」の国会での審議が大型連休明けにも始まります。政府は社会保障制度の充実や税の適正な徴収を図るため、3年後の平成27年からの制度導入を目指しています。

 当然、個人情報の保護に関しての議論が予想されます。政府、国の機関の信用性が薄らいでいる状況で、納税情報という、私たち国民の根幹の部分をさらけ出すことに、多くの方は抵抗を感じているのではないでしょうか。まだまだ広く、国民の理解が必要な法案だと感じますね。
 マイナンバー制度で、納税も社会保障を受けること、医療を受けるときにも用いられると聞いています。健康保険証が変わる感じですね。保険料納付の有無や治療履歴(少なくともどこの病院へ行ったかはわかる)も、情報として盛り込まれるのでしょうか。

 情報の流出を防ぐため学識経験者らによる「第三者機関」を新設して、自治体の管理体制を監視することなどが盛り込まれているそうですが、そもそも、個人情報の悪用に関して、いろんなところで社会問題となっています。民間の金融機関だけでなく、役所などの、警察組織でも、ずさんな管理体制が報道されています。そこまで国が信用できるのかという話のようです。朝のテレビ番組では、松原仁国家公安委員長が、個人の通話傍受の必要性を訴えていました。なにやら、違う国の話のような気がしてきましたね。

 法案が通れば、共通番号は、日本に住民票がある人であれば、全員に自動的に付けられます。本人の同意なく、勝手に番号が付けられるそうです。

 そもそも、政府は制度導入のねらいは、「公平な税の負担や、きめ細かい社会保障の給付を図ること」を挙げています。制度導入のメリットを、次のように説明しています。

 年金を受け取る際に必要な番号や住民票コードなどは、今の段階では別々ですが、共通の番号の制度があれば、所得や、年金などの保険料の支払い額、それに受けている公的サービスを一元的に把握できます。これによって、社会保障の給付漏れや、税の徴収漏れを防ぐほか、公的サービスに関係する手続きもこれまでより簡素化できます。
 医療費が自己負担の上限を超えた場合、現在はいったん窓口で支払い、後に払い戻しを受けなければなりませんが、こうした手続きが不要になります。共通番号があれば個人の所得を把握できるようになるので、減税や、現金を支給する「給付付き税額控除」も実施できるようになるということです。

 これらを聞いているだけでも、すごく重要な個人情報です。システムの簡素化は、役所側のメリットで、私たちの利便性はどこまで進むのでしょうか。そもそも便利と引き換えに、何をしなければならないのかは注意が必要です。

 マイナンバー制度は、私たちが完全に丸裸にされるイメージを抱きます。それがいけないとは言いません。何も悪いことをしているわけではないので、丸裸にされてもいいのですが、そのコアな情報がどのように使われるのかその管理体制が問題です。そう簡単に配送ですかと言う法案ではないような気がしますが、いかがでしょうか。

 いま、消費税の話題に隠れて、とても重要な法案が審議されようとしています。

2012年5月4日金曜日

42年ぶりのゼロです

震災後、唯一再稼働した北海道泊原発3号機は、明日午後5時から制御棒が注入されます。これで国内50基すべての原発が停止することになります。国内の稼働原発がゼロとなるのは42年ぶりのことだそうです。

 原発再稼働に向けて、国と地元住民との間で大きくもめています。電力会社側は夏の電力不足を理由に、再稼働を推し進めようとしていますが、地元住民や地方自治体の首長は、再稼働による安全性の確保が保てない限り、再稼働はあり得ないと、話し合いは平行線になっています。

 電力会社側は、原子力を稼働させない限り、財務体質は悪くなり、債務超過になることを恐れて、何が何でも原発は動かしたいという思惑だと、テレビのワイドショーでも報じられています。それゆえなのか、再稼働の動機づけが無理やりで、動かすことありきのシナリオに終始しています。

 個人的には、日本は地熱発電を中心にエネルギー供給を考えることが必要だと考えています。地熱発電は今まで原子力推進派に頭を抑えられていました。日本は火山国ですから、自然エネルギーは豊富です。地熱発電普及には、国立国定公園法や温泉組合地の問題もあります。

 ただ、世界の日本への目は、原子力再稼働に向いています。エネルギーの安定供給は、企業活動に直結しますので、電力不足の国に海外企業が入ってくることはなく、企業活動の衰退にもつながり、格付け会社による格下げも懸念されます。格付け会社の日本格下げ要因が消費増税法案否決と原子力全面ストップのようです。

 夏を原子力稼働ゼロで乗り切れば、原子力再稼働の道は大きく遠のきます。稼働しているから乗り切れたというシナリオでないと困るのでしょう。いずれにしても、福井県大飯原発再稼働は既定路線のようです。枝野経産大臣の「一時的に」ゼロにはなるということでしょう。

 電力問題は国の根幹にかかわる問題で、企業活動にも多大な影響があり、それは国際問題でもあるのです。日本の原子力技術の輸出はビッグプロジェクトで、それは優良な輸出材料でもあります。安全をとるのか、格下げ防止をとるのか、思案のしどころなのでしょうかね。

2012年5月3日木曜日

5月3日は憲法記念日

今年は、憲法施行から65年を迎えます。各政党は、憲法改正案に独自色を打ち出すのに躍起になっています。

 憲法改正は、いろんなところで議論されていますが、なかなか前には進まない状況が続いています。そもそも手続きとしては、衆参両院で、その改正案に対して3分の2以上の賛成が必要で、さらに、国民投票にかける必要があります。この国民投票法に関しては、2007年5月に、自公政権下で、憲法改正のための国民投票は行えることになています。

 国民投票は、この憲法改正に関する審議に限るのか、ほかの議案も国民投票にかけていいのかの議論があります。総理大臣の公選制なども、ささやかれていますね。また、国民投票ができる年齢をいくつにするのかというのが問題です。今のところ18歳以上といわれていますが、であれば選挙年齢も18歳まで引き下げるべきだとかの議論もあります。公職選挙法と民放との整合性の問題もあります。

 太平洋戦争終結後、1946年11月3日に今の日本国憲法が公布され、1947年5月3日に施行されました。11月3日は文化の日として祝日となっています。

 憲法改正に関しては、よく言われるのが、戦争放棄を唱っている9条をどうするかという問題です。時代にそぐわなくなったと言われますが、今の憲法のどこが時代にそぐわなくなったのかをよく議論すべきでしょう。それが、9条なのでしょうが、よく議論をすべき内容でしょう。

 憲法には「前文」というものがあります。憲法に内容を伝えたもので、私は中学の時に、この前文は丸暗記させられました。今でも覚えていますね。ここにその前文を載せます。改めて読むと深いですね。

「 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由 のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を 確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれ を享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

  日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安 全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地 位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

 
 

2012年5月2日水曜日

国会議員の歳費

国会議員の歳費を2年間で540万円削減するという法案が、参議院本会議で賛成多数で可決しました。ただ、2年間の時限立法です。、消費増税議論の中での国民へのアピールなのでしょうかね。

国会議員の歳費は先進国では日本が一番高いと言われています。国会議員一人当たりの年間歳費を比較してみますと、
日本は2,200万円、米国は約1,392万円(1ドル=80円換算)
英国は約840万円(1ポンド=130円換算)、ドイツは約890万円(1ユーロ=106円換算)
これを見ただけでも、ダントツに日本が高いです。為替レートにもよりますが、それでもダントツに高いです。これはすべて私たちの税金です。

これ以外に、話題になっている文書通信交通滞在費が議員一人月額100万円支給されます。いまやインターネットの時代で、郵便物の送付というよりも、ホームページややメールマガジン配信により、活動報告をしています。作成費用はかかりますが、郵便物配布よりかは、はるかに費用は掛かりません。比例区選出議員は、ほとんどこの費用は使わないという話を聞いたことがあります。

もっとも、国会議員の言い分は、選挙にお金がかかるので、選挙のために、パーティー代からの収益、献金に加えて、これらの歳費を貯蓄しているのが実態だそうです。地元の秘書代もここから出すから全然足りないという言い分です。つまり、国会議員としての活動費は、自分が選挙に受かるための費用であって、国民のために使う費用ではなかったのですね。それが税金から支給される経費だったのかと、改めて思わされます。つまり、私たちの税金は、議員としての身分保身費用だったのです。

自民党の派閥が求心力があったときは、派閥の領袖は、自派閥勧誘のために、議員に夏は氷代、冬は餅代と称して、お金を配っていたそうで、国会議員はお金がかかるそうです。なんだろうかね。あれもこれも、すべて私たちの税金です。

これ以外に、JRフリーパス、超格安の議員宿舎、ありえないサービスがもれなくついてきます。これも、私たちの税金から補助されています。税金を払っている私たちは、破格の待遇で国会議員を雇ているのです。

2012年5月1日火曜日

アメリカはアジアにピボットを置く戦略

野田総理は訪米中です。民主党政権初のアメリカ公式訪問で、日米共同声明は、なんと6年ぶりだそうです。自民党時代は、総理が変わるたびに、真っ先にアメリカに訪問していました。参勤交代とまで揶揄されるくらい、新総理は訪米していましたが、1年ごとの訪問でしたから、受ける方も大変ですよね。と言うことで、今回の訪問は麻生内閣以来ということになります。

それにしても、オバマ政権誕生から3年半の間に、オバマ大統領は、一体何人の日本の総理大臣と向かい合ったのでしょうか。民主党になっても3人目です。オバマ大統領が、野田総理誕生の折に言った言葉が「なによりも大事なあなたの仕事は長く総理でいることです」と言ったそうです。良くわかりますね。その野田総理は、9月に民主党代表選挙を控えています。ここで負けたら、オバマ大統領は、また新しい総理にお祝いの言葉を贈ることになりますね。

野田総理は、就任中に是が非でも消費増税関連法案を通したいのでしょう。今のままでは国会の期間延長もままなりません。小沢元代表をなんとか消費増税案に協力させるには、代表選で小沢陣営に勝つことで、求心力を得ようとすることもできます。9月の代表選後に、消費増税案を通すか、代表選を前倒しにして、小沢陣営に勝って、消費増税案に臨む思惑もあるようです。ワシントンでは、小沢元代表の党員資格復帰を求める発言をしています。その代り消費増税案には協力してほしいとのことでしょう。

総理のアメリカ訪問で何を話し合われているのでしょうか。安全保障がテーマとなっていますが、どうも中国に対する何かが話されているようです。当然TPPや原子力発電再稼働の要請も受けているのでしょう。

「Pivot(ビボット)」という言葉があります。これはバスケット用語で、ドリブルの時、トラベリングというファールをとられないように軸足を固定することです。アメリカサイドは、よくこの言葉を使います。この軸足は、アジア太平洋に置いているのです。アジア太平洋重視の戦略がアメリカの本流です。当然TPPにも力を入れますし、中国政策も今まで以上に大事です。アメリカは製造業復活による雇用の拡大という方針です。日本との関係強化も大事な課題です。

今後のアメリカのアジア戦略は目が離せません。